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叡邪交わる街フォンタナ―Fontana

 赤や橙に色づいた木々が生い茂る森林と、大小様々な群島からなる街。狭い群島にこれでもかと積み重ねられた家々、それでも足りないからと空中や水上に浮かべられた様々な施設が一際異様な空気を醸し出す。

 世界最大の教育機関である「学園」を擁するいわゆる学園都市の類であり、住人の殆どが学園に在籍する「学徒」や教職員、その他様々な研究に人生を捧げる研究者達とその家族である。一朝一夕に様々な技術が更新されては世に放たれて来たが、その中には人々を混乱に陥れるような「邪知」も含まれていた。

【魔竜プロフェット】

 知識を司る秋の書の竜。お伽噺の火吹き竜を瘦せ衰えさせたような、古木を思わせる節くれだった体躯。未来をも見透かすような巨大なひとつ目。ボロ切れのような1対の翼。体のあちこちに巻物のような薄く細長いものが巻き付いている。

 人間に化ける時は茶髪茶目の妙齢の女の姿を取る。人間と同じふたつ目の時もあれば、竜態の時のような単眼になる時もある。学園の図書館棟の中に竜堂を構え、時折姿を現しては読書に耽ったり一心不乱に羊皮紙にナニかを書き綴っていたりする。街の中の人目につかないところでボーっとしている姿も目撃されている。が、何をしているのか聞いても返事が来た試しがないし書いている文字も誰にも読めなかった。

 唐突に「ジッケン」と称して突拍子もないことを始めることがある。街に毒ガスをばら撒いたり、旅人をさらって閉じ込めたり、街の住人を一方的に召喚してはアレやソレをやったり、巻き込まれた者は大抵(色んな意味で)無事では済まされない。単なる暇潰しとの噂もあるが、動機も目的も、その真意は全くの不明。

「『貝の世界』に、四つ足の獣が闊歩する陸地は含まれるのか。『ハエの世界』に、銀鱗煌めく流線型の生き物が悠々と泳ぐ水底は存在するのか。精霊が築き人間が暮らす文明は、花か毒かで言ったらどちらなのでしょう。あなたの『世界の果て』は、ここから数えて何ブロック先にあるのでしょう。私に教えて頂戴?」

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バイオーム:Ocean、Seasonal Forestなど

主産業:各種研究による技術開発、書籍

建築の特徴:まじ☆かる全振り、建築と物理の専門家を高笑いしながら右ストレートでぶっ飛ばす

​都市計画:学園区、住宅区

​名前の由来:知識の泉→Fontana(イタリア語で「泉」)

【魔竜の瘴気】

 この街一帯を覆っている変異ナチュラ。魔竜が「ジッケン」の一環でばら撒いたもので、慣れない者がこれに触れると、正体不明の息苦しさに苛まれると同時に「唐突に大量の知識を与えられたような錯覚」に陥る。が、実際は錯覚などではなく街の地理や主要な施設の場所などについての情報がねじ込まれており、その為初めて訪れた旅人でも(よっぽどの方向音痴でもない限り)自力で街を歩くことが出来る。しかし、「知識をねじ込まれた」という事実に気付いた瞬間、会ってすらいない魔竜に自分の存在を把握されていることにも気付くのである。はいSANチェック振ってどうぞ。0/1D3くらいでしょうか。

 街にはかつての「ジッケン」の中で生まれた魔竜の子孫が暮らしており、彼らの血液を経口摂取することで瘴気による息苦しさを軽減することが出来る。ただし、効果は保って半日程度。魔竜の子孫は血液の提供に対しやや消極的なので、半日以上の長期滞在及び移住を望むなら気合で慣れるしかない。

【学園】

 フォンタナに置かれた、この世界最高峰の教育研究機関。これが正式名称。研究団「蒼儀球」の管轄である。

 世界中から探究心あふれる学徒が集まり、勉学や研究に励む。所謂教養を授ける学校ではない為、学年が無ければ進級や落第といったシステムもない。学びたければ心行くまで学べるし、教えたければ思う存分教えられる。ただし入学するにあたり定期的に行われる入学試験に合格、もとい教授陣に気に入られる必要がある。また、義務教育でもないので一定の入学費を納めなければならない。教授も教授で、定期的に試験を受けるか研究成果を発表するといったことが義務付けられている。真面目に研究して仕事すればそれなりに良い給料が支払われるが、学園や学問への貢献が見られなければ容赦なく首を切られる。

 試験に合格すれば、入学費を納めることで「学徒証」を受け取り晴れて学園所属の「学徒」となる。一括で払うだけの費用の工面が大変な場合は半年に一度など分割で払うことも出来る。それも難しい場合は借金となり、学内で斡旋されている清掃や講義の補助などのバイトに参加することで賄う。ただしバイトとはいえ報酬は全て自動的に学費に充てられるので、実質ボランティアである。バイトの受け口にも限界がある為、あまりに経済能力の低い者は試験すら受けられないこともある。

 

 学徒となった者は、学びたい分野を選んで登録し、その分野の専門家たる教授が開く講義に参加する。学徒は登録した分野ごとに「習熟度」というステータスを持ち、そのステータスレベルによって受けられる講義が変わってくる。教授はいつ何について講義するか、その講義を受けるには習熟度がどのくらい必要かを明示する。ただ、習熟度はある種の目安であり、自分の習熟度が講義の必要習熟度に満たなくても挑戦することも出来るし、逆に復習の為に必要習熟度が低い講義を受けてもよい。その辺は教授との話し合い次第。

 また、そもそも教授の講義を絶対に受けなければならないということもない。教授と反りが合わないことも無くはないだろうし、習熟度が近い他の学徒から学べることの方が多いなんてこともあり得るし、どうしてもその時間バイトに行かなければならない者もいるだろう。ただし、分野ごとに不定期に開催される習熟度試験には在籍中一定回数以上出席し一定以上の成績を修めなければならず、特定の時期までに試験の出席回数や成績が不足すると、その分野の講義が受けられなくなったり特定の施設の使用権限が失われたりお値段割増になったりとかなり大きなデメリットを被ることになる。学びたければ心行くまで学ぶことが出来るが、何もしなければ何もさせてくれないのが学園という場所である。

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